別所実正作 金龍頭立兜
(きんりゅうずたてかぶと)
「美は、線に宿る。」
この甲冑師の作品を前にして、そう感じました。大胆でありながら繊細。伸びやかな鍬形の曲線は、空間に余白を描き、見る者の視線を導きます。
洗練された設計と、計算された均衡。重厚でありながら軽やか。装うというより、彫刻のように佇む兜です。
鉢の天辺から、いままさに龍が舞い降りる——
そんな瞬間をとらえたかのような兜です。
立物に据えられた金龍は、写実的でありながら誇張に走らない。鱗の一枚一枚、うねる胴体、鋭く見開かれた眼差し。細部まで息づく造形が、確かな存在感を放ちます。その作風は、まさに類を見ない迫真性を備えています。
静止しているはずの兜に、明確な「動」を与える龍頭。まるで天空から降臨し、鉢に宿ったかのような構図が、空間に圧倒的な気配を生み出します。
対して、鍬形は梨地仕上げ。光沢を抑えた質感が、龍の躍動を受け止め、全体の均衡を保ちます。
華やかさを競うのではなく、造形の強さで魅せる構成です。
力強さと緻密さ。
動と静。
相反する要素を高度に融合させた、圧巻の一作です。
※手づくりのため柄行や色調などが画像とは異なる場合がございます。
※屛風や飾り台など装飾品を含めた価格になります。
寸法:間口40㎝×奥行40㎝×高さ34㎝