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重ね鍬形 波間図大鍬形之兜
(かさねくわがた なみまずおおくわがたのかぶと)
「美は、線に宿る。」
この甲冑師の作品を前にして、そう感じました。大胆でありながら繊細。伸びやかな鍬形の曲線は、空間に余白を描き、見る者の視線を導きます。
洗練された設計と、計算された均衡。重厚でありながら軽やか。装うというより、彫刻のように佇む兜です。
青海波(せいがいは)と波濤(はとう)の彫金が、兜全体に躍動をもたらす一作。静止しているはずの造形に、寄せては返す波の気配が宿ります。
とりわけ圧巻なのは、大鍬形に施された約6センチにも及ぶ透かし彫り。大胆でありながら緻密。
重ね鍬形の鋭さを保ちながら、内部に波間の文様を彫り抜くその技は、まさに造形美の極みです。
光が差し込むたび、透かしの陰影が空間に揺らぎを生み出します。
縅には、青のグラデーションをまとう紺絲裾濃。
深海のような濃紺から、澄んだ青へと移ろう色調が、波間図の意匠と響き合い、全体に統一感と奥行きを与えます。
背後の屛風には「飛龍」の書。
天を翔ける龍のごとく、勢いと上昇を象徴する言葉が、波の意匠と呼応し、作品にさらなる躍動を添えます。
力強さと精緻さ。
重厚でありながら、透かしが生む軽やかさ。
動の意匠を極めた、存在感あふれる兜です。
※手づくりのため柄行や色調などが画像とは異なる場合がございます。
※屛風や飾り台など装飾品を含めた価格になります。
寸法:間口60㎝×奥行44㎝×高さ66㎝