平安一水作 真鍮兜 赤絲縅 燻銀鍍金
(しんちゅうかぶと あかいとおどし いぶしぎんときん)
「奇をてらわない。」
この甲冑師の作品を前にして、まず浮かぶ言葉です。
華美を競わず、流行に迎合せず、ただ堅実な技と確かな素材に向き合う。
その姿勢こそが、美を自然に立ち上がらせる——
まるで水が高きから低きへと静かに流れるように。
真鍮地に重なる、力強い赤絲縅。
古来より赤は、魔除けと守護の色。
その鮮やかさは単なる装飾ではなく、命を守る祈りの色として受け継がれてきました。
随所に施された燻銀鍍金は、華やかさを抑えた渋みある輝き。
赤の躍動を受け止め、全体に落ち着きと格調をもたらします。
光を柔らかく吸い込むその質感が、作品に静かな奥行きを与えます。
洗練された設えの板飾りには、作名を彫金で刻印。
控えめでありながら、確かな誇りを宿す意匠です。
また「布着せ」という技法を用い、一枚板の反りを防ぎ、堅牢さを高めました。
その控えめな仕立ての奥に宿る職人の誠実さが、この兜の確かな存在感を支えています。
端正な鍬形の兜姿は、余計な主張を持たず、それでいて凛とした存在感を放ちます。
細部にまで行き届いた仕上げが、作品に確かな奥行きを与えています。
伝統の技法を用いて仕立てられた、堅実にして美術品と呼ぶにふさわしい一作。
静の中に宿る情熱と、守護の願いをかたちにした兜飾りです。
※手づくりのため柄行や色調などが画像とは異なる場合がございます。
※飾り台など装飾品を含めた価格になります。
※寸法:間口30cm×奥行18cm×高さ15㎝